仕事でよく行く駅を出ると、東京タワーが間近に見えます。
今日はすっかり春のような暖かい日で少し時間もあったので、近くまで行って写真を撮ってみました。
春といえば、『人を動かす、新たな3原則』Daniel H.Pink(著)の中に出てくる印象的なエピソードがあります。
20世紀半ばに活躍したアメリカの広告会社幹部のRosser Reevesは、大統領選でテレビコマーシャルを制作した最初の広告業者ということでも有名です。
ある日、Reevesは同僚とセントラルパークで昼食をとった帰り、公園に座って金を乞う一人の男を見かけました。お金を恵んでもらうためのカップの側に段ボールの看板が立てかけられ、手書きでこう書かれていました。「わたしの目は見えません」
でも残念ながらカップの中にはわずかな硬貨しか入っていませんでした。
それを見ていたReevesは同僚に「賭けてもいい、看板にほんの少し言葉を付け加えるだけでびっくりするほど金がもらえるようになる。」と言って、その看板に数語を付け加え、少し離れたところで様子を見守ったそうです。
するとほとんど間髪を入れずに数人がカップの中に硬貨を入れ、そのうち足を止めて男に話しかけ財布から1ドル札を何枚か抜き出して渡す人まで現れ、間もなく置いてあるカップは現金で溢れかえったそうです。
Reevesが看板に付け加えた言葉はどんな言葉だったと思いますか?
答えは「今、季節は春なのに」です。
看板の全文はこうなりました…「今、季節は春なのに、私の目は見えません」
こう書かれた看板を見た人たちは、一瞬で自分の現実と男の現実を鋭く比較し心を動かされ、彼にお金を差し出しました。
このエピソードは、物事を単独で見るよりも、他の物と比較してみたほうがより深く理解できるという『対比の原則』を具現化したものとして、”人に動いてもらいたいと思う申し出をする際には、それがより明確に伝わるように代替物と比べ自分の申し出をフレーミングしてみましょう”という成功事例の一つとして紹介されていました。
それにしても、付け加える言葉がさすがですよね、「皆さんは目が見えるかもしれませんが、…」とかでは、きっと反応も今一つだったと思います。
ところで、東京タワーって何度みても何か胸に迫るものを感じます…青空に映える東京タワーも、夜にライトアップされている東京タワーも、いつも見る度に一瞬息を大きく吸い込みたくなります。
隅田川から見えるスカイツリーと比べても、なんだか東京タワーは特別な気がしてきますが、これ昭和生まれだからでしょうか…笑